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No.1不整形画地の見方・考え方

土地評価セミナーの開催報告

評価替えに向けて


No.1 不整形画地の見方・考え方


不整形画地と収益価格の関連について その1

 土地の形状不良により、その土地の価格がどの程度減価するのか或いはしないのかに関しては、まだまだ解明できないことが多い。
 国土交通省監修(旧国土庁監修)土地価格比準表や固定資産土地評価基準、相続税財産評価基本通達、または固定資産土地評価事務取扱要領や自治体、公共機関の事務取扱要領等に概説があるものの、今のところ具体的な減価方法は「陰地割合」「有効利用率」「観念的方法」という手段選択は可能だが、認定基準が曖昧なままとなっている。
 このことは、評価に従事する者にとって非常にやっかいな問題であり、評価される側の者にとっても釈然としないままに終始するという結果が続いている。特に、固定資産土地評価や相続税財産評価、公共用地の取得等のように一度に多数の土地を評価した場合に、不整形減価にアンバランスが生じやすく、評価に当たってはきちんとした認定基準と評点が確保されなければならない。
 これまでの経験で、無道路地の減価と並び問い合わせの多いのがこの不整形減価である。
 さて、今までは、土地の形が悪いということが即価格のマイナスという思考パターンになっていたのであるが、社会の変化に伴い、不整形だとしても整形土地となんら遜色のない使用を実現できる土地もあるのではないだろうか。特に、不整形であってもそのことを克服して要領よく活用しているアパート敷地も多く見られるのであり、整形土地と同等の利益をもたらす土地であるならば、敢えて減価を必要としない土地もあるはずである。
 また、仮に減価がある場合は、どの程度が妥当であるのかについても大変興味深いものであり、専門家としての知見をまとめ、公開するに意義のあることと判断したのである。
 この解説文は当NPO法人の不動産鑑定士3名と不動産アナリスト1名による共同作業の結果得られたものであり、不動産鑑定士は公的価格評価方法に準じた考え方をとっている。一方、不動産アナリストは土地を投資財ととらえ、キャッシュフローを把握する手法を使用している。したがって、不動産鑑定士は「直接法」不動産アナリストは「DCF法」を採用している。

 この開設を初めてご覧になる方にとって、収益価格はなじみ薄く、理解しがたいものとの印象もあると思うので、簡単な図で「直接法」と「DCF法」を説明する。

直接法

 

 

 

 

 

 

 

5〜

      初年度の純収益が永久に続くという考え方。但し、各年の純収益は先になればなるほど減額する「割引」の概念をとる。

DCF法

      各年の純収益は実態に即し、投資終了時には不動産そのものを売却し利益を得る。
   この場合も「割引」の概念をとる。収益は1から5の合計である。投資家は1から5の収益のバリューを捉え、それ以上の価格では投資しない。それ以下なら低ければ低いほど投資成績は向上する。1から5の収益と投資価格が等しくなるときの割引率をIRR(内部利益率)という。投資家の目標IRRにより投資可能額も変化する。

収益価格計算の条件概要
 @敷地は300uに統一した。
 Aアパート1世帯の床面積は45.3uとした。
 B1LDKとした。
 C敷地の間口は18.35mである。
 D接面道路幅は6mとした。

 E6世帯6駐車場 4世帯4駐車場 2世帯4駐車場 の3ケースを想定した。

 F家賃は一階月額1,300円/u二階1,326円/uとした。

 G鑑定士の場合は保証金の運用益と権利金の運用益及び償却額を計上した。
 
H駐車場料金は一台2,000円/月とした。
 I建物建築費は任意とした。

 J還元利回りは4.5%〜5%とした。

 K投資分析(DCF法)では、IRR4%をめどとして収益価格を算定した。
 
L投資分析(DCF法)では土地建物の収益価格から建物の調達費用を控除して土地価格を求めた。土地残余法の一類型である。
 ※その他詳細については個別の算定用表を参照されたい。


不整形画地と収益性の関連(個別表)

6世帯6駐車場

分析者 収益価格(円/u) 経費率(%) 還元利回(%) IRR
安藤 13,633 23.6 4% DCF法
工藤 15,000 24.4 4.5 直接法
佐藤 60,000 21.7 4.5 直接法
白澤 64,400 21.0 5.0 直接法

4世帯4駐車場

分析者 収益価格(円/u) 経費率(%) 還元利回(%) IRR
安藤 8,830 24.0 4% DCF法
工藤 11,000 24.7 4.5 直接法
佐藤 39,000 22.2 4.5 直接法
白澤 41,900 21.4 5.0 直接法

2世帯4駐車場

分析者 収益価格(円/u) 経費率(%) 還元利回(%) IRR
安藤 616 24.7 4% DCF法
工藤 4,000 25.9 4.5 直接法
佐藤 21,300 23.0 4.5 直接法
白澤 22,800 22.2 5.0 直接法


不整形画地と収益性の関連(総括表)

                                                            単位円/u 

分析者 6世帯6駐車場 4世帯4駐車場 2世帯2駐車場
安藤 13,633 8,830 616 DCF法
工藤 15,000 11,000 4,000 直接法
佐藤 60,000 39,000 23,100 直接法
白澤 64,400 41,900 22,800 直接法

工藤・佐藤・白澤の価格差は主に建物建築価格の差により生じたものである。


1 目的

 土地の不整形が土地の収益性にどれだけの影響を与えるのかについて、土地面積を固定し建物のバリエーションに変化を持たせて分析した。したがって、同一土地で、収益バリューの変化で土地価格にどのような変化を与えるかについてを分析したとも言える。


2 シミュレーションの条件

2-1 安藤は不動産流通業者としての知見から、不動産投資収支採算の観点を重視して分析した。7年運用後NOI(純収益)の10倍(即ち、還元利回りは10%)で売却することを前提としている。また、目標IRRを4%としているが端数はどうしてもつく。IRRは投資不動産にとって高ければ高いほどうまみがあるが、リスクも高いことになる。NPVは多ければ多いほどよい。 

2-2 工藤・佐藤・白澤は不動産鑑定士としての知見から、公的土地評価に採用されている直接法をとり分析した。従って、保証金や権利金の運用益算定において、流通の現実とは異なる部分もあるが敢えて償却という概念を許容している。(償却期間を2年としているが市場が2年での出入り(更新等)を認めうるのであればよいが必ずしも2年とは限らない、また、償却という概念自体制度会計的な発想であり、現実の不動産賃貸収支には見られないものであることは承知している。)

 

3 結果

6世帯6駐車場建築可能な土地形状から4世帯4駐車場に制限される程度の土地の形状不良では、上記総括表により次のとおりのマイナスが現れる。

 

 

ケース

 

 

ケース

 

 

 

分析者

 

6−6

 

4−4

 

A%

 

2−4

 

B%

 

 

安藤

 

13,633

 

8,830

 

35.2

 

616

 

93

 

工藤

 

15,000

 

11,000

 

26.7

 

4,000

 

63.6

 

佐藤

 

60,000

 

39,000

 

35.0

 

21,300

 

45.4

 

白澤

 

64,400

 

41,900

 

34.9

 

22,800

 

45.6

 

         平      均

 

 ▲33.0

 

 

 ▲61.9

        A%は「4−4」÷「6−6」   B%は「2−4」÷「4−4」

以上から、6−6を確保しうる程度の不整形では、収益価格上の土地価格減価は生じないといえるが、4−4、或いは2−4と制約条件が強くなれば、急激な土地価格減価が生じるとみられる。アパートの場合は、土地形状の良し悪しよりも、立地の良否が収益力を決定するのである。


4 むすび

 今回の試算では、土地面積を300uに固定したが、不整形により土地面積を変化させなければならない場合に対応する試算が必要である。また、駐車スペースの数にアパートの稼働率は比較的大きく左右されることから、そのことによる試算も必要とみられる。しかし、世帯数=駐車場数という関係が世帯数>駐車場数となった場合の、稼働率に対する影響度合いが不明であり、的確な試算が今のところできない。 
ともあれ、この試算が、用地評価を行っている方々の参考になれば幸いである。

 今後は、更にケースを増やし試算を行う。

NPO法人・秋田県公的土地評価支援機構 白澤 啓   記

   分析者
    正会員 安藤 晃 (不動産アナリスト)
    正会員 工藤則夫  (不動産鑑定士)
    正会員 佐藤信博  (不動産鑑定士・CFP)
    正会員 白澤 啓  (不動産鑑定士・AFP)

    分析日 2005年11月30日


計算書はこちらから :安藤  工藤  佐藤  白澤  本報告書